例えば、請求書を封入する際に封筒の宛名と請求書の宛名が違うという事故が発生した、再発防止策として今までやっていなかったダブルチェックを厳格に運用することとした、としましょう。
一見、再発防止策として有効なようですが、実はダブルチェックが有効に機能しない場合がある、と言われて、皆様はどのようにお考えになるでしょう?
少なからず「えっ、そんな事あるの?」と驚かれた方がいらっしゃるのではないでしょうか?
実は「有効に機能しない場合が存在する」とされています。
組織の中における作業者と確認者の関係性において、作業者が確認者よりも上位にあたる場合などは、確認者が確認する際に「あの人が作業したのだから大丈夫だろう」と確認が疎かになるケースがあり得る、ということです。
実際、情報セキュリティ参謀として従事している際に、何回か再発防止策にダブルチェックの導入が報告されてきましたが、その度に作業者と確認者の職位などを確認していました。
ある時、ある地方組織から作業者と確認者の職位が逆転した再発防止策が報告されましたので見直しをお願いしたのですが、「わが組織は大丈夫」と管理職が申し立てをしてきましたのでそのまま実行させました。
ところが数カ月後に事故が再発、、、ダブルチェックが機能していなかったという原因分析結果がもたらされ、、、当該管理職は然るべき処分を受けることになりました。
組織における「環境心理」「社会心理」を考えさせられる事例です。
参考図書:中條 武志,