情報セキュリティ参謀として使い分けた「みる」という言葉

独立系情報サービス会社において、いわゆる「情報セキュリティ参謀」として活動していた際、「みる」という言葉を使う場合、2種類の漢字を使い分けていました。
1つは一般的な「見る」であり、もう1つは「視る」です。

部下の仕事ぶりを「みて」適切に評価するなど、相当程度の注意義務を払う必要がある場合には「視る」を意識してもらうように管理職研修で説明していました。

また、より厳しく「みる」ことが求められる監査においての違いについて「情報セキュリティ監査 公式ガイドブック」の「監査技法」を紐解きますと、「閲覧(レビュー)」「観察(視察、サイトレビュー)」が示されており、「閲覧」といえど求められる内容は単なる「見る」ではなく「視る」・「観る」レベルと解釈することができます。

ここで、「見る」、「視る」、「観る」の違いについて、根拠とした広辞苑の版数も含めてChat GPTに質問してみたところ、次のような回答が表示されました。

  • 見る: 一般的な視覚行為を指します。日常的に目を使って物事をとらえる場合に使われます。
  • 視る: 特定の対象に意識を集中して目を向ける場合に使われます。例えば、視察や視認など、意図的に観察する意味が含まれます。
  • 観る: 単に視覚的にとらえるだけでなく、深く観察し、意味を考察する場合に使われます。例えば、映画を「観る」、風景を「観る」といった、感情や理解を伴う場合に使われます。

使用した広辞苑は第七版です。

さて、経営層の皆様方の組織において適切に「みる」が使い分けられていますか?
本来、「視る・観る」べきところを「見る」レベルで済ませていませんか?

そして、経営層の皆様方ご自身が「視る・観る」ことを疎かにしていませんか?

NTT西日本の子会社における個人情報流失事故に関する社内調査委員会の調査報告書を「反面教師」として読んでみて下さい。
情報セキュリティ自主点検における「視る・観る」の欠如、経営陣が情報セキュリティ上のリスクマネジメントのプロセスが存在しているかどうか「視ていない・観ていない」と解釈できる記述が見つかるなど、いろいろと示唆に富んだ内容になっています。