監督官庁への報告資料は自宅で作成しても良い? −ある人事部長の判断−

30年ほど前から知っていたある会社の人事部でのお話です。

その人事部では監督官庁への報告物を既婚の女性社員が担当していました。
その社員には小さな子供がいらして、保育園に預けて仕事をしておられた様です。

ある月の報告で、報告締切は翌日に迫っているというのに、基礎資料がなかなか集まらなかったのか、退社間際になっても報告資料が完成しなかったらしいのです。

そこで、その女性社員は作成済の資料を自宅に電子メールで送信し、子供のお迎えと夕食の支度などひと通りの世話を終えてから基礎資料を再確認、資料作成を行い、会社に送信。
翌日、最終確認の後、午前中には無事に監督官庁への報告を済ませたのでした。

ところが報告を済ませた日の午後、社内のセキュリティ部門から人事部の管理職に連絡が入り、会社の資料を自宅に送った社員がおり、社内ルールに違反しているので原因分析と再発防止策を検討して報告するように指示されたそうです。

セキュリティ部門も協力して原因分析を始めてみると、その女性社員が資料を電子メールで自宅に送ったその日は管理職が出張で不在、なかなか連絡がつかず、すぐに判断を仰ぐことができなかったため、社内ルール違反により処分されるのを覚悟で送信したことが判明しました。

社内のセキュリティ部門からは社員個人の原因分析もさることながら、「人事部」という組織としての原因分析と再発防止策を詳細に検討し、人事部長名で役員報告するよう指示が出されました。

ただ、事故発生から2年経っても報告が上がってくることはなかったそうです。

さて、経営層の皆様にはこのような状況がどの様に報告されますか?
そして、もし報告されたとしたら、皆様はどのように対処されるのでしょうか?

疑問に思われたことなど、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。